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AFLの戦い方 第18回 <開いた点差が開いた陣形を作る>

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2015/10/27

「不思議なことだ。」
 
かの名将、マーク・トンプソンは解説者席で口を開いた。ジロング・キャッツの黄金期を支え、古巣エッセンドンでもその手腕を発揮した名監督だが、2015年シーズンはどのチームからも声はかからなかった。

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昨年まで指揮を取っていたチームの試合解説を冷静に行う。試合展開の状況、改善点、、、的確に質問に答えていく。
 
その中で声のトーンが少し落ちる。
「心理的なことだと思うが、私にも分からない。」
「大量にリードを奪ったチームは徐々に開き出す。」
 
ボールのリンクの話だ。
 
AFLはディフェンスの処理能力が上がり、コリドーを突破することが難しくなった。そこでサイドのバウンダリライン際を上がり、センタリングを入れる方法が主流となっていた。
 
マーク・トンプソンはそれでも中央突破にこだわり、ジロング・キャッツを優勝に導いた。キックした後のマークコンテストの強さ、それに対するフォローのスピード、人数、圧倒的な圧力でコリドーを突破していた。

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そして、現在。
コリドーを通ったカウンターアタックはAFLで主流になりつつある。
かつてのジロングが採用した「キックとフォロー」で前進するというよりは、ランニングとハンドパスで突破することが多いのだが。
 
マーク・トンプソンが解説した試合も、何度か中央突破でゴールにつながるシーンがあった。しかし、ゴールを重ね点差が開いて余裕が出てくると、中央を突破しなくなる。ボールを散らして、スピードを緩める。
 
スピードを緩めるというよりも、緩んでしまうのだろう。
 
ボールを散らしながら、「安全に」攻撃をしているうちに、ターンオーバーされて、一気に中央を突破され、相手に得点を許してしまう。
 
勝ちが見え始め、このままいけると思ったときに、リスクを取らない攻撃をする。リスクを取らない攻撃は、相手にとっては脅威とはならない。徐々に、布陣は開き、味方プレイヤー同士は遠くなり、緩む。緩んだ間を相手が一気につく。負けている方が強いと分かる瞬間だ。

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フットボールは駆け引き。
常に中央を突破し続けることはできない。
プレイヤーは当然疲弊する。
 
緩んだ時に流れを変えられるのは、味方同士が近くでプレーする締まった中央突破だ。プレイヤーが集まり、一気にスプリントしてボールをリンクさせていく。そのタイミングを合わせられるチームは強い。
 
流れに取り残されたプレイヤーはインターチェンジエリアを目指し、
チームはゴールを目指す。
 
カウンターアタックで一気に刺さるような攻撃が見られる近年のAFLの醍醐味だ。
流れを感じる試合は楽しいし、プレイヤーも苦しみながら駆け引きを楽しんでいる。
 
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さて、先の試合の話。
 
攻撃をひと段落させて、リスクを冒すことなく開いた攻撃を繰り返すチーム。
「今までの試合で消耗していますし、シーズンを戦う中で次の試合のことも考えているかもしれませんね。」
実況のアナウンサーが気を取り直すように話した。

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「不思議なことだ、、、」
かつての名将は解説席でそうつぶやいた。
しかしマーク・トンプソンが不思議がっていたのは試合展開ではない。
 
不思議なのは、古巣のエッセンドンが「リスクを取らない」こと。
戦術も、プレイヤーの起用も、そして、チームの体制も。
フットボールに関する何から何まで。

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AFLはリスクを取らないと戦えない。
 
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