中村雅哉 -JAFLスカラーシップレポート 2009-

第5期JAFLスカラーシップ生 中村雅哉が、JAFLの姉妹クラブBoxhill North Football Clubでの体験や、
オーストラリアンフットボールの本場、オーストラリア メルボルンでの生活をレポートします。
 

2009 JAFLスカラーシップ選手―中村雅哉―

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2009/08/05

スピード、スキル、高さ、オーストラリアンフットボールで最も必要とされる3つの要素を兼ね備えた選手、それが中村雅哉だ。2008年、中村は4月に大学に入学し、オーストラリアンフットボールを始めたばかりであったにもかかわらず、8月に開催されたInternational Cupでは第1戦から先発に抜擢されていた。中村が抜擢されたのは偶然ではない。中村は5月に行われた国内合宿で、オーストラリアンフットボールをほんの数週間前に始めたばかりとは思えないポテンシャルの高さを見せていたからだ。

 

はたして結果はどうであったか。「何もできなかった。」それが中村の実感ではなかっただろうか。「あいつならやってくれる。」コーチ陣はそう思っていただろうし、チームメートも同じような期待を抱いていたのではなかったか。しかし、始めて数カ月の選手がいきなり活躍できるほど、国際大会の現実は甘くなかった。期待をもって臨んだ初戦、ニュージーランド戦、中村は全く自分の実力を発揮できなかった。緊張からか、焦りからか、大量の汗をかいた。いつもなら簡単に取れるはずのマークが、手から滑り落ちた。ボールをキープし、キックまでたどりつくのは至難の技のような気がした。結局出場した4戦で、中村はこれといった成果を見せられなかった。中村は、ICについてこんな言葉を残している。

「始めたばかりにもかかわらず、あんなにBIGな国際大会にメンバーの1人として出場できたのは今までにない喜びでしたが、その時に何もできない自分が腹立たしかった。」


 

静かに幕を閉じた中村の最初の夏。そんな中村がフッティーを始めたきっかけは何だったのか。

 

「何かスポーツをやりたくて学内の冊子を見ていると、オーストラリアンフットボールという見たことも聞いたこともないスポーツがあることを知りました。人のあまりやらない事に興味を魅かれやすく、かつ英語を学びたいという意思があり見学してみたところ、面白いスポーツだと感じ始めました。」

 

一見するとオーストラリアンフットボールを大学から始める選手の平均的な動機。だが、中村の練習に対する取り組みは他の選手と比べてずっと真摯なものだ。中村の通う駒沢大学は土曜日にも授業があり、そのため通常一年生は土曜日の練習に参加できない。しかし中村は授業が終わるとすぐに練習に駆けつけ、最後の数十分にもかかわらず練習に加わることもあった。挫折を味わったICの後も、練習に対する真摯な姿勢は失われなかった。もっとスキルを身につけて自分の思うようにボールをコントロールすることを心がけた。プロの試合をDVDで見ることも始めた。次のICでは体の大きな他国選手に負けないためにと、スポーツジムにも通い始めた。

 

「中村はICでの挫折をばねに練習を重ね、その後大きく実力を伸ばした。」と言いたいところだが、しかし中村のひたむきな努力はすぐに実を結んだとは言い難い。少ない練習機会、チームメートが少ないため充実した練習ができないことなどが重なり、なかなか思うように自分を磨けない。そんなもどかしさが中村にはあったのではないか。そんな状況に追い打ちをかけるかのように、秋の公式戦では試合途中で肩に怪我を負ってしまい途中退場を余儀なくされた。その後もたびたびの怪我に悩まされ続けた。

 

オーストラリアンフットボールを始めて1年弱、まだまだ始めたばかりとは言え、多くの挫折を味わった。それは中村が不運だからか、それともより高い目標を抱えるからか。しかし中村は、自分のペースを保ちながら、着実に成長を重ねている。2009年トップリーグ初戦の大阪ディンゴーズ戦、足をつって退場を余儀なくされた第3クウォーターまで、中村はベストのプレーを見せていた。

 

かねてからの努力が認められて、晴れてスカラーに選ばれた直後の第5戦の東京レパーズ戦、怪我から復帰した中村は豊富な運動量でチーム勝利の原動力となった。そして7月26日の関東選抜対東京ゴアナーズの試合では、厳しい暑さのなかであったにもかかわらず、チームの心臓部であるローバーのポジションでほぼフル出場を果たした。圧巻は第2クウォーター終盤、均衡が続く緊張感ある試合展開の中、暑さに負けず相手ビハインドからのキックインを追いかけ、幸運にもこぼれたボールを奪い、逆風の中ロングゴールを蹴り込んだプレーだ。

着実に上手くなっている、中村はそう実感しているだろうか。試合後にはこんな感想を漏らしている。「やはりまだ体格で負けてしまうし、上のボールを簡単に取られてしまうので、改善の余地があるが、キックやハンドの正確性が身に付いてきたなというのも実感できた。」

 

挫折を乗り越え、小さな自信が芽生えてきているのを感じる今、中村は今回のスカラーの目標をこのように述べている。「本場の練習方法や、試合の流れなど、日本では見る事ができないことに重点を置いて、更なるレベルアップを図りたい。」

 

本場でのプレーに、また新たな挫折を味わうかもしれない。しかし、静かながらもまっすぐな意欲を持った中村であれば、その壁も乗り越えていけるはずだ。中村の目標は決まっている。「次のICで世界選抜に選ばれること。」オーストラリアンフットボールを始めたころ、飲み会ではへらへらしていた先輩が試合になると熱く激しいプレーをしているのに驚いた。今ならきっと驚かないだろう。中村は、誰よりも真面目に日々のトレーニングに取り組み、誰よりも熱く激しいプレーしている。

 

 

中村雅哉 プロフィール

 名前

 中村雅哉

 所属チーム

 駒沢マグパイズ

 生年月日

 1989年6月9日

 身長/体重

 177cm/70kg


 

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